前庭眼反射を定量的に考える
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概要
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vestibulo-ocular reflex (VOR) の経路を入口の半規管より出口の眼球まで以下の (1) ~ (4) のブロックに分けて解説した。(1) 頭の回転角加速度によりクプラが駆動され偏位する。クプラの偏位角は頭の回転速度に近似する。クプラの偏位角は前庭神経の発火頻度の増減分として中枢に伝達される。(2) 中枢ではまず、この速度情報が、より実際の頭の速度に近づくように修飾される。つまり、クプラの時定数Tc (≒5秒) がVORの時定数Tv (≒16秒) に神経積分器を含む回路により延長されるということである。(3) 時定数Tvの速度情報はもう一つの神経積分器により眼球位置信号に変換される。この眼球位置信号と時定数Tvの速度情報は、両者とも眼運動ニューロンに入力される。 (4) 眼球を適切に動かすためには、眼球の運動速度に比例する粘性抵抗と位置に比例する弾性抵抗に抗する力が必要であり、 (3) の速度情報と位置信号が各々これらの力に変換される。(1) ~ (4) 各々を伝達関数を用いて表現した。全体としてのVORの伝達関数はこれら (1) ~ (4) の伝達関数の積で表される。結局、入力を頭の速度、出力を眼球の速度として、VORを伝達関数で表すと、となる。 (g: VOR gain, Tv: VORの時定数)。
- 耳鼻と臨床会の論文