自己組織由来注入物質の開発の試み
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概要
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片側反回転神経麻痺に対する声帯内注入療法に、コラーゲンが用いられるようになってから、約10年が経過した。この間におこった問題点は、コラーゲンの抗原性と注入後の効果の持続性である。すなわち、現在市販されている注入用コラーゲンは、ウシ真皮より抽出されたものであるため、酵素処理されてはいるものの、その抗原性やある種の感染症に関する不安は皆無ではない。そこで、自己組織由来のコラーゲンを注入用に調整することができれば、抗原性や感染症に関する問題を解消でき、優れた注入材料となる可能性がある。そこで注入材料を自己の皮膚に求めることを想定し、皮膚の酸膨潤処理により注入物質を作製後、注入後の組織内での安定性に関与するといわれるコラーゲン分子の状態を電子顕微鏡にて観察した。その結果、酸膨潤処理した皮膚のコラーゲンの状態は、従来優れているとされる架橋型アテロコラーゲンに類似していた。
- 耳鼻と臨床会の論文