舌癌再建症例の嚥下機能
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概要
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1. 大胸筋皮弁による一期的再建を行つた舌癌2症例に対しX線ビデオ透視と嚥下圧測定を行い嚥下機能を評価した,<BR>2. X線ビデオ透視では2症例とも造影剤の軽度から中等度の誤嚥を認めた. 喉頭蓋谷および梨状陥凹への造影剤の貯留も認あたが, 喉頭の挙上は比較的良好で食道入口部の開大は十分であった.<BR>3. 嚥下圧測定では2症例とも中咽頭の嚥下圧低下を認めた. これは切除部位とほぼ一致した. ただし, 舌根も合併切除した症例2よりも舌根を保存した症例1のほうが圧の低下が大きかった. 2症例とも下咽頭および頸部食道の嚥下圧は正常範囲であった.<BR>4. 下咽頭圧の上昇と一致して食道入口部の圧が低下が見られた. X線ビデオ透視と嚥下圧測定の結果から2症例ともほほ正常な輪状咽頭筋の機能を有すると判断した.<BR>5. 再建を行つた舌癌症例において半切では舌根切除の有無は術後の嚥下機能に影響を与えなかった. 再建症例においては再建組織の体積, 形状および可動性が術後の嚥下機能に影響を与えると考えられた.
- 耳鼻と臨床会の論文