高齢者の視運動性眼振緩徐相速度の検討
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概要
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視運動性眼振 (OKN) の緩徐相速度は2つの機構から構成されている. 1つは短い時定数を持ち初期急速増加を形成し, 追従機構が関与する. 他の1つは長い時定数を持ち緩徐増加と視運動性後眼振 (OKAN) を形成し, 速度蓄積機構が関与する. 高齢者のOKN の緩徐相速度の低下がどの機構の低下があるかを検討する目的で, 高齢者に30°/sec, 60°/sec, 90°/secの等速度視運動刺激を加え, 初期急速増加 (IR), 最高定常時緩徐相速度 (SS), OKAN第1打の緩徐相速度 (SR), OKANの時定数 (TC) を測定した. 高齢者では60°/sec以上で若年成人よりSSが低下した例が多かつた. SSが低下した例ではIRの低下例が多く, SRの低下例は少なかった. また, SRが低下した例は必ずIRが低下していた. これらの結果より, 高齢者では主に追従機構への加齢の影響によりOKN 緩徐相速度が低下すると考えられた.
- 耳鼻と臨床会の論文