外耳道真菌症の臨床的・菌学的研究
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概要
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外耳道真菌症122例の臨床的, 菌学的検討を行い次の結果を得た.<BR>1. 1歳から81歳の各年代に分布し, 2: 3の性差で女性に多く, 患側は右優位であつた.<BR>2. 局所的要因として中耳根本術, 慢性中耳炎, 外耳道狭窄傾向, 抗生剤・副腎皮質ホルモン局所使用, 鼓膜パッチなどがあつた.<BR>3. 臨床診断の要点は手術顕微鏡下の観察所見で, 鋳型状や靴下状など耳垢過多形成や, 耳垢表面の粉末状の分生子頭確認であつた.<BR>4. 真菌の同定結果は<I>Aspergillus terreus</I>が過半数 (56.6%) で<I>A</I>. <I>niger</I> (23.8%), <I>A</I>.<I>flavus</I> (11.5%)の順であつた.<BR>5. 薬剤感受性試験ではエコナゾールとクロトリマゾールが各菌種に良好な静菌作用を示したが, 殺菌的作用は<I>A</I>. <I>niger</I>に対する以外は不十分であつた. 消毒薬ポビドンヨードは各菌種に対して静菌作用, 殺菌作用両面で高い有効性を示した.
- 耳鼻と臨床会の論文