地域在住の自立高齢女性における体力と抑うつ状態との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 地域に在住する自立高齢女性における各体力要素と抑うつ状態との関連を明らかにすることを目的とした。<br/>方法 平成14年から平成23年にかけて毎年継続開催している高齢者体力測定会への参加者のうち,初回参加時65歳以上であった女性の初回時データ(886人)を分析対象とした。調査項目は,平衡性や,歩行能力,筋力,柔軟性,持久性などの体力および抑うつ状況,質問紙による生活状況である。抑うつ状態は,GDS (Geriatric Depression Scale)簡易版を用い,GDS スコア 5 点以下の非抑うつ群と 6 点以上の抑うつ群に区分し,この 2 群間での生活状況および体力の比較を行った。また,体力については,年齢および抑うつ群•非抑うつ群間に有意差の認められた食習慣,運動習慣などの生活状況項目を共変量とした共分散分析を行った。<br/>結果 対象者の21.1%は GDS スコアが 6 点以上であった。抑うつ群は非抑うつ群に比べて,筋パワー,敏捷性,筋力,持久力,歩行能力が有意に低値であった。食習慣や運動習慣等の生活状況を交絡因子として調整をしても,垂直跳び,シャトル•スタミナ•ウオーク,等尺性膝関節伸展筋力のような下肢筋力に関連する体力および持久力が有意に低値を示した。<br/>結論 生活が自立し,自ら希望して体力測定に参加するような比較的活動的な高齢女性においても抑うつ状態にある者が一定割合存在することより,地域在住高齢者における潜在的なうつ傾向はこれより高率と考えられた。また,下肢筋力や持久力は生活習慣や活動状況と独立して抑うつ状態に関連することから,より下肢の筋力向上を意識した運動介入がうつに有効な可能性が示唆された。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果