東日本大震災被災者健康調査の質問票における身体活動関連項目の妥当性および再現性の検討
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概要
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目的 2011年 3 月11日に発生した東日本大震災を受け,厚生労働省では被害が甚大であった地域を対象として「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査」を実施している。本研究は,この調査の質問票の中で身体活動状況を評価する 4 つの質問項目(質問 1:日常での身体活動,質問 2:外出の頻度,質問 3:歩行の時間,質問 4:不活動の時間)について妥当性および再現性を検討することを目的に行った。<br/>方法 対象者は,岩手県釜石市 H 地区の仮設住宅居住者のうち本研究への参加同意が得られた74人(男性21人,女性53人)であった。身体活動状況の質問票の妥当性を検討するため,3 次元加速度計による身体活動量調査を 2 週間実施した。また,再現性を検討するため 2 週間の期間を空け質問票への回答を依頼した。<br/>結果 3 次元加速度計で身体活動を評価すると,歩数では男性4,521±2,266歩/日,女性4,533±2,070歩/日であり,中高強度身体活動量は男性で週10.6±7.3メッツ•時,女性で週14.7±8.2メッツ•時であった。妥当性について,歩行時間の把握に関する質問 3 の各選択肢において歩数に有意な差が認められた(回答 1. 1 時間以上:5,343±1,757歩,回答 2. 30分~1 時間:4,760±1,752歩,回答 3. 30分以下:3,063±1,772歩,P<0.05)。さらに質問 1~3 の選択肢について活発であるとされる選択肢が高得点となるよう点数を配置し,その合計得点と 3 次元加速度計により得られた変数との相関を検討したところ,歩数(r=0.486, P<0.05)および中高強度身体活動量(r=0.342, P<0.05)ともに有意な相関が認められた。また,身体活動質問票の 1 回目と 2 回目に回答があった70人において,重みづけ κ 係数を用いて再現性の評価を行ったところ,0.41~0.65の中程度の再現性が確認された。<br/>結論 「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査」における身体活動状況の 4 つの質問について,3 次元加速度計を用いた妥当性の検討では,日常での身体活動,外出の頻度,歩行の時間に関する項目および 3 つの質問の合計得点で妥当性が認められた。またいずれの項目においても中程度の再現性が認められた。
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