中年期における特定健康診査未受診者の特性
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概要
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目的 国民健康保険による特定健康診査の受診率向上を目指し,健診受診率の最も低い40–50歳代の特定健康診査対象者を対象に,受診者と未受診者の背景を調査し,未受診者の特徴を明らかにすることを目的とした。<br/>方法 愛知県 A 市の国保被保険者のうち,40–50歳代の特定健康診査対象者2,624人全員を対象とし,郵送による質問紙調査を行った。調査項目は対象者の基礎情報(性別,年齢,学歴,就労,家族構成)と生活習慣,医療機関への通院,かかりつけ病院の有無,ソーシャルサポート等である。<br/>結果 回答が得られたのは,健診受診者から263人(回収率36.0%),未受診者から397人(回収率21.0%),全体で660人(回収率25.2%)であった。国保特定健診未受診者の中には,個人または職場で健診•人間ドックを受けている者が31.2%いた。また,健診は受診していないが医療機関へ定期通院している者も28.5%おり,健診も医療機関も受診していない者は,健診未受診者のうち40.3%であった。同じ健診未受診者でも,医療機関への通院の有無で特徴が異なった。医療機関へ通院している者は,自分を「健康でない」と感じているものが多かったが,健診も医療機関も受診していない者では,自分を健康と感じているものが 8 割を超えていた。男性のうち,健診も医療機関も受診していない者は,健診を受診している男性と比べ,配偶者がいない者が多く,自営業や正社員として働いている者が少なく,世帯収入も少なかった。また,困ったときにそばにいてくれる存在がいないと答える割合が高かった。この特徴は,女性ではみられなかった。かかりつけ病院については,男女ともに,健診も医療機関も受診していない者で,持っていない割合が高く,男性72.3%,女性62.0%がかかりつけ病院を持っていなかった。<br/>結論 健診未受診者の中には,他で健診を受けている者や医療ケアを受けている者も多く存在し,積極的に健診受診を勧奨するべき「健診も医療機関も受診していない者」は,未受診のうち 4 割であった。未受診者のうち,医療機関の受診もない男性は,周囲の人や社会とのつながりが薄く,周りからの支援を受け難いことが考えられた。この特徴は女性ではみられず,男性特有の傾向であった。
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