農村部における在宅高齢女性の食生活および生活の満足に影響する食行動の要因
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概要
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目的 本研究は,北海道の農村に在住する高齢女性の食生活の満足および生活の満足に影響する食行動の要因を明らかにすることを目的とする。<br/>方法 北海道の農村地区の 3 町 5 か所のデイサービスに通所している65歳以上の女性156人を対象とした。質問紙による聞き取り調査は,基本属性,健康状態,食行動,食生活の満足度,生活の満足度についてデータ収集した。はじめに,食行動の因子分析を行い,食行動の因子と食生活の満足度および生活の満足度の相関係数を算出した。さらに,「生活の満足度」を従属変数に,年齢,自立度,家族形態,経済状態と食行動の因子得点,食生活の満足度を独立変数としてパス解析を行った。<br/>結果 156人のデータを分析した結果,食行動の22項目を選択し,【調理や食事の時の不自由さ】,【調理の習慣】,【食事内容の質】,【食材入手の関心】,【食事をする理由】,【一緒に食べる】の 6 因子を抽出した。食生活の満足度と生活の満足度に正の相関がみられた(ρ=0.58, P<0.01)。パス解析の結果,食生活の満足度に直接影響を与えていたのは,食行動の因子の【食事内容の質】(β=0.36, P<0.01),【一緒に食べる】(β=0.19, P<0.05)と「年齢」(β=0.19, P<0.05)であった。【食事内容の質】には,【食材入手の関心】(β=0.23, P<0.05)が影響していた。生活の満足度に影響を与えていたのは【食生活の満足度】(β=0.57, P<0.01)で,決定係数は34%であった。<br/>結論 高齢女性の生活の満足を高めるためには,食生活の満足度を高めることが必要であることが示唆された。「食事内容の質」を高め,「一緒に食べる」環境づくりをすることが食生活の満足度に影響を与える。高齢女性の食生活に焦点を当てた保健福祉サービスの提供は,生活の質を高めるために重要である。
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