介護保険施設における入浴ケア実施時間帯の実態調査
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概要
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高齢者施設における入浴ケアは、頻度や時間帯など高齢者の施設入所前の生活習慣と異なっている現状がある。また入浴には睡眠導入効果があり、高齢者に多くみられる睡眠障害の改善に寄与することが考えられる。そのため高齢者施設における入浴ケアは、利用者のこれまでの生活習慣や睡眠への影響を考えて、時間帯を選択し個別のニーズに対応する必要があると考える。そこで本研究では、高齢者施設における入浴ケアの課題を検討することを目的として、介護保険施設における入浴ケアの実施時間帯に関する実態調査を行った。方法は,対象とした3県の全ての介護保険3施設(特養、老健、療養型)の看護·介護管理者宛てに調査票を郵送し、入浴ケア実施時間帯とその選定理由について回答を得た。対象とした444施設のうち、246施設から回答が得られた(回収率55.4%)。その結果、「午前」や「午後」の時間帯と合わせて「夜間」の時間帯に入浴ケアを実施している施設は1.6%であり、それ以外の施設は、夕食前までの時間帯に入浴ケアを実施していた。入浴ケア実施時間帯の選定理由は「職員が多く配置されている時間であるため(夜間は職員が少ないため)」が最も多く、次に「他の日課·業務との兼ね合い」であった。入浴ケアは要介護度が高い利用者への安全面への配慮から、ケア職員が多く配置されている時間帯を選択している施設が多く、施設·職員の都合が優先されている。しかし入浴の睡眠に対する温泉医学的知見に基づいた介入方法などを検討することによって、利用者の個別のニーズにあった入浴ケアの実施につながり、入浴ケアの質の向上につながっていくことが考えられた。
著者
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