樹状分解による解析的ゲル化理論の定式化
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概要
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従来の解析的ゲル化理論では取扱われていなかった系, 例えば分子内環化を伴う重合反応や不可逆縮合重合に於ける置換基効果等が, 樹状分解上のマルコフ鎖を用いた有理関数型確率母関数 (pgf) により定式化出来た。すなわち, ポリマー鎖のsubgraphを "parts" で表現する事により, 環構造や高次マルコフ性の定式化を行った。それぞれについて定式化の簡単な例を示した。pgfからは平均分子量, 分子量分布, ゲル化点等統計量の計算が容易である。例えば, pgfが有理型なのでグレブナ基底を用いた計算が可能であり, 従来のラグランジュ展開で重合度分布を計算する方法に較べて必要とされるメモリー量が少なくて済む。原料の仕込み比, 官能基の反応性比等現実の反応で問題となる諸要因を考慮した記述が可能である事も, この方法の特長である。ガウス分布の仮定の基ではポリマーの構成単位 (unit) 間距離の分布も推算できる。この様に, 樹状分解法はゲル化の理論的な研究だけでなく, 実験データの解析に広い応用が期待できる。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文