熱可逆的ネットワークを用いたリサイクル性高分子
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
架橋高分子のマテリアルリサイクルを困難にしてきた原因は, 不可逆的な共有結合による架橋にあると考えられる。本稿では, 熱可逆的ネットワークを用いたリサイクル性高分子の研究例について概説するとともに, 当社で研究開発中の水素結合ネットワークを用いた熱可逆架橋ゴム「THCラバー」 (開発名) について解説した。共有結合を用いた可逆架橋の例としては, Diels-Alder反応とエステル形成反応を中心に, 水素結合を用いた例としては, 高分子側鎖の架橋, 修飾への応用例について述べた。さらにこれらの過去の研究例をふまえ, 当社で開発中のTHCラバーについて解説した。THCラバーは, 加硫ゴムに近い性能を持ち, ほとんど性能低下することなく, リサイクルが可能である。様々なゴムに適用できるため, 多種多様な性能を発現できる。また, DSC, SAXS分析から, カルボン酸-アミドトリアゾール骨格の架橋部位が超分子的な多点水素結合により凝集構造を形成していることが示唆された。