米国の「ネットワークポリマー・コンポジット」の開発動向:新市場の育成・強化に総力を結集
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概要
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前報<SUP>1) </SUP>の欧州に続いて, 本報では米国の「ネットワークポリマー・コンポジット」 (以下略NWP・C) の開発動向について報告する。<BR>米国のNWP・Cの著しい発展は, 第2次世界大戦後に民間で急速に進んだ。それ以前は「ベークライト」で親しまれているようにフェノール樹脂積層板・成形品のような電気絶縁材料部品と軍用航空機部材と限られた用途範囲にしか利用されていなかった。<BR>第2次世界大戦後, 米国産業は軍需型から民需型への転換が急務となり, その指導の役割を担ったのが米国のSPI (The Society of The Plastics Industry Inc.米国合成樹脂工業協会, 1937年設立) である。その成果として熱可塑性樹脂分野では「ポリメタクリレート」「ABS」等, そしてNWP・Cでは航空機船舶関係や鉄道車両, なかんずく自動車分野への意欲的な応用が進んだ。そしていまや, この応用が所謂「建設」という建築や土木関係にも及ぼうとしている。<BR>米国は世界第一のNWP・Cの生産量・消費量の国となっており, 全世界の約半分を占めている。欧州での開発の特徴が第一に「独創性」であるのに対し, 米国の特徴は第一に「実用性」である。機能性追求, 量産性・経済性指向であり, 市場開発の開拓者精神が満ちており, ここに世界の目が向けられている。米国と日本とは意外と類似点があり, 「開拓者精神」もそうである。量・質の点で一見異なって見えるがNWP・Cの世界でも両国の協力は将来のために力強い貢献をするものと信ずる。日本が米国に強い興味を示すのもそのためである。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文