ヒドロキノン型カリックスアレーンの重合:1.付加縮合反応によるポリマー化
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概要
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<I>para</I>位に水酸基を有する<I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンを合成し, 上部水酸基の<I>ortho</I>位とホルムアルデヒドとの付加縮合反応により新規フェノール系ポリマーの合成を試みた。水酸化ナトリウム触媒下では, いずれの反応条件においても不溶性の重合物が得られた。これは, <I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンが多官能性であるためと考えられた。一方, 塩酸触媒下では, 反応条件を穏和にすることで可溶性ポリマーが得られた。可溶性ポリマーについて<SUP>1</SUP>H-NMR測定により分子構造を調べたところ, <I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーン1分子 (12個の<I>ortho</I>位) あたり新たに導入されたメチレン結合の数は, 平均1個であることがわかった。このことより, 得られたポリマーは<I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンがメチレン結合で連なった構造を有していることが確認された。また, <I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンの盃型に近い構造がポリマーにおいても保持されていることが明らかとなった。<I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンとフェノール類との共重合反応において, <I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンのフェノールユニットの反応性が高いことがわかった。さらに, <I>p</I>-ヒドロキシカリックス [6] アレーンから得られた不溶性ポリマーの炭化率は70%を越えており, 耐熱性の高いことが明らかとなった。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
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中本 義章
金沢大学・工学部物質化学工学科
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山岸 忠明
金沢大学・工学部物質化学工学科
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薮 和正
金沢大学・工学部物質化学工学科
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加藤 龍輔
金沢大学・工学部物質化学工学科
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石田 真一郎
金沢大学・工学部物質化学工学科