硬化促進剤の半導体封止用エポキシ樹脂信頼性に及ぼす影響
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概要
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クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂を主体とする封止樹脂の特性に硬化促進剤が及ぼす影響について検討した。その結果, これらの樹脂の硬化反応において塩基性硬化促進剤のpKaとキュア時間との間には明確な関係は認められず, 硬化反応には硬化促進剤の塩基度の他に硬化促進剤の構造または樹脂への分散性などが大きく影響すると考えられる。硬化促進剤の樹脂特性への影響は機械特性及び電気特性に明瞭に現れた。トリフェニルホスフィン (TPPと略記) の場合フェノールとエポキシの反応が主体で架橋度が比較的低いのに対し, 耐熱衝撃性の良い2-ヘプタデシルイミダゾール (HDIと略記) ではエポキシのホモ重合なども進行し架橋密度を向上させることがわかった。一方, 電気特性と耐湿信頼性は架橋密度には依存せず, 硬化促進剤による耐湿信頼性及び電気特性の変化は硬化樹脂中のCl<SUP>-</SUP>濃度が硬化促進剤によって異なることに起因していることが分かった。これは硬化促進剤によりエポキシ樹脂からの塩酸の脱離量が違うためであると考えられ, TPPは脱塩酸反応を伴う架橋反応を生じにくいために耐湿信頼性が優れていると予想できる。この耐湿信頼性の優劣は硬化樹脂の吸湿後の電気特性, 特に高温tan δを測定することにより早期の判定が可能であることが分かった。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文