アリルメタクリレートの乳化重合による反応性架橋高分子超微粒子の合成
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概要
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多官能ビニル化合物のラジカル重合における三次元化に関する一連の研究の一環として, 本研究ではアリルメタクリレート (AMA) の乳化重合によって擬似ミクロゲルとしての架橋高分子超微粒子を合成し、そのキャラクタリゼーションと後重合について検討した。先ず, AMAの溶液重合挙動を光散乱測定によって追跡し, ミクロゲル化が顕著なエチレンジメタクリレートと対比考察した結果, プレポリマー中のペンダントアリル基含量は高いものの成長メタクリルラジカルとの低反応性のため分子内架橋反応が高度に生起せず, ゲル化以前におけるミクロゲル化が生じないことが示唆された。次いで, AMAの乳化重合を行ったところ, 塊状重合では4%でゲル化したのに対して重合率が90%を超えてもゲルの生成は認められなかった。生成ポリマーの重量平均分子量および分子量分布の経時変化, 分子量と溶出量および慣性半径との相関, 極限粘度, <SUP>1</SUP>H-NMRスペクトル, さらには残存アリル基の重合率依存性から, 乳化重合で得たポリマーは比較的架橋密度の低いミルロゲル様のものであると推察された。最後に, このような多量のペンダントアリル基を有する反応性架橋高分子超微粒子の後重合を通常のプレポリマーと対比検討した。微粒子の後重合では反応速度およびゲル生成速度はプレポリマーに比して低下し, それも粒径の増大とともに顕著となった。また, 重合初期から膨潤比の小さいゲルが生成し, 反応の進行とともに極小値を経て若干ながら増大傾向を示した。加えて, 微粒子の後重合挙動は濃度に大きく依存した。これらの結果を分子内および分子間架橋反応, さらにはポリマー鎖のからみ合いの観点から考察した。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文