ポリエステル-アクリル-ハイブリッド粉体塗料とその塗膜構造
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概要
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ポリエステル樹脂とアクリル樹脂との反応によりコポリマーを形成させ, これを相溶化剤とすることにより, 粉体塗料用ポリエステル-アクリル-ハイブリッド樹脂 (以下ハイブリッド樹脂と略す) を得た。本報では, ポリエステル樹脂とアクリル樹脂のエステル交換に依るコポリマーの形成を<SUP>13</SUP>C NMRを用いて確認した。さらに, コポリマーの形成による相分離構造の変化を透過型電子顕微鏡 (TEM) を用いて観察した。ハイブリッド樹脂を用いた粉体塗料の焼付後の塗膜は, アクリル樹脂単独からなる表面の薄層と, ポリエステル樹脂をマトリックスとし, アクリル樹脂を微細なドメインとする相分離したバルク層よりなる複層構造を示す。当初コポリマーの形成に伴いアクリルドメインサイズは小さくなる。過度に反応が進んだ場合, ドメインのサイズ, 形状が共に不安定な相分離構造となった。均一な相分離構造と, 複層構造により単純なブレンドでは活かされなかった両樹脂の特長を発現した塗膜外観や物性が得られた。また, 塗膜構造の変化に伴った諸物性の変化からその相関が明らかとなった。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文