心房中隔欠損における心電図所見の検討:下方誘導のnotch は有用か
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概要
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<B>背景:</B>心房中隔欠損(ASD)の心電図所見としては主に右脚ブロック(RBBB),孤立性陰性T波,胸部誘導のT波非連続性,右軸偏位(RAD),下方誘導(Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導)のQRS notch(crochetage pattern)などが知られている.この研究の目的はASDの診断におけるcrochetge patternの有用性につき検討することである.<B>方法:</B>① 2002~2012年の当院でカテーテル検査を施行したASD 59例を対象とし,その際の心電図所見とカテーテル検査結果につき後方視的に検討を行った.②2007~2012年に学校心臓検診にてRBBBを指摘され当院を受診した60例を対象とし,RBBBと各心電図所見を組み合わせASDスクリーニングにおけるそれぞれの感度,特異度を求めた.<B>結果:</B>①対象59例の心電図においてRBBB は43例(73%),孤立性陰性T波は11例(19%),胸部誘導のT波非連続性は40例(68%),RADは29例(49%)で陽性であった.Crochetage patternは41例(69%)に認めた.Crochetage pattern陰性群を対象とし,各陽性誘導数別に,肺体血流比(Qp/Qs)と右室拡張末期容量(RVEDV)について多重比較検定を行ったが有意な差は認めなかった.年齢別の検討ではcrochetage patternの陰性率がより年少児で高くなる傾向がみられた. ②対象60例のうち10例にASDを認めた.RBBBとcrochetage patternが陽性のときに良好な感度が得られた.一方RBBBと胸部誘導のT波非連続性が陽性のときには良好な特異度が得られた.<B>結論:</B>学校心臓検診においてRBBBに加え,crochetage patternや胸部誘導のT波非連続性を併用することでより精度の高いASDスクリーニングが期待できる.
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