神奈川県大山山麓におけるタカサゴクロサギIxobrychus flavicollisの記録
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概要
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タカサゴクロサギIxobrychus flavicollisは,中国からインド,パキスタン,バングラディシュ,東南アジア,パプアニューギニア,ソロモン諸島,オーストラリアにかけて分布する (del Hoyo et al. 1992).国内での正式な記録は,1981年5月4日に新潟県粟島において鳥類標識調査中に捕獲された個体が初めてである(風間 1981).この記録の前にも,1970年4月29日に長崎県の男女群島で記録があるほか,1981年5月3日に千葉県の松岸海岸でも記録があるが,記載された特徴は本種と同定するには不十分であるほか,掲載または資料として残っている写真も,本種を同定するには至らない.粟島での記録後は,南西諸島を中心に稀な飛来が確認されるだけであった.しかし,2003年以降は毎年記録されており,関東でも2005年に東京都大島(東京都八丈ビジターセンター 2005),2006年には同都三宅島(山本 私信)で確認されている.しかし,神奈川県では過去に記録されていない(日本野鳥の会神奈川支部 2002).また,今回の記録は内陸部での記録であるが,今までの本種の記録は主に離島か海岸沿いで,本土の内陸部での記録は広島県での保護記録(福本ら 1990)のみであった.筆者らは,神奈川県の内陸部で鳥類標識調査中に本種を捕獲し標識したので,詳細を報告する.