肝硬変症例における部分的脾動脈塞栓術とHassab手術の検討
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概要
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脾機能亢進肝硬変患者において,部分的脾動脈塞栓術(以下PSE)施行群17例とHassab手術群24例の治療後臨床症状と血液生化学検査を追跡することで,両者の安全性と有効性を比較検討し,それぞれの治療意義を明らかにすることを目的とした.PSE群においては,術後の発熱・疼痛に対して非ステロイド性抗炎症薬内服でコントロール可能であり,重篤な合併症は認められなかった.Hassab群では手術に伴う発熱・疼痛はコントロール可能であったが,門脈血栓1例と幽門形成術部出血1例があり,それぞれ肝不全から死亡に至り,合併症に細心の注意が必要と思われた.術前と術後4週の血液生化学検査を比較すると,PSE群ではプロトロンビン時間,血清アルブミン値,総ビリルビンに変化はなく,白血球数と血小板数に有意な増加が認められた.PSEは外科的介入が困難な症例においても先行治療としての意義があるものと考えられた.Hassab群では静脈瘤や脳症などシャント血管を有する患者においてはそれらの問題が一期的に解決できるだけでなく,白血球数と血小板数の有意な上昇に加え,プロトロンビン時間と総ビリルビンの有意な改善も認められた.
- 日本門脈圧亢進症学会の論文
著者
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千田 信之
国立病院機構仙台医療センター消化器科
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泡渕 賢
国立病院機構仙台医療センター消化器科
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千田 信之
国立病院機構仙台医療センター 消化器科
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田邊 暢一
国立病院機構仙台医療センター消化器内科
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田邊 暢一
国立病院機構仙台医療センター消化器科
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