ヘモグロビン濃度はインスリン抵抗性と関連する -人間ドック受診者における横断研究-
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概要
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目的:2型糖尿病およびメタボリックシンドロームなどのインスリン抵抗性を基礎とする糖代謝異常とヘモグロビン濃度との関連が報告されている.しかし,これまでにヘモグロビン濃度が直接インスリン抵抗性に影響するのか,他の因子を介してインスリン抵抗性に関するのかは明らかにされていない.特にメタボリックシンドロームの診断を規定する因子や脂肪肝の介在があるかは不明である.そこで今回我々は,人間ドック受診者において,ヘモグロビン濃度とインスリン抵抗性との相関がメタボリックシンドロームを規定する因子とは独立して関連するか否かを検討した.方法:当センターを2011年度に受診し,腹部エコーを施行した3,232名のうち,糖尿病,高血圧および脂質異常の治療を受けていない男性1,112名,女性1,385名の計2,497名を対象とした.脂肪肝の程度は腹部エコーを用いて評価した.インスリン抵抗性の指標としてはhomeostasis model assessment of insulin resistance(HOMA-IR)を用い,ヘモグロビン濃度と各変数との関連を検討した.結果:単変量解析では男女ともにヘモグロビン濃度とHOMA-IRとの間に有意な正の相関を認めた(男性:r=0.293,p<0.001,女性:r=0.175,p<0.001).HOMA-IRを従属変数に,空腹時血糖,脂肪肝の程度,腹囲,ヘモグロビン濃度,high density lipoprotein(HDL)コレステロール,中性脂肪,年齢,収縮期血圧,喫煙の有無を独立変数とした多変量解析においても,ヘモグロビン濃度は男女ともに有意な独立変数として採択された(男性:β=0.104,p<0.001,女性:β=0.052,p=0.008).結論:ヘモグロビン濃度は,メタボリックシンドロームの診断項目および脂肪肝とは独立してインスリン抵抗性と関連している.
- Japan Society of Ningen Dockの論文
著者
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中村 秀次
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター
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住谷 哲
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター
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泉 由紀子
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター
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高島 周志
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター
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鈴木 真優美
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター
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佐藤 文三
公益財団法人日本生命済生会総合健診クリニック ニッセイ予防医学センター