NT-proBNP検査をオプション検査に導入して
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概要
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<B>目的:</B>NT-proBNP(N-terminal pro-brain natriuretic peptide)は,心不全の診断,治療効果の判定,予後の指標に役立つ心筋マーカーとして臨床上の有用性は確立しているが,健診における有用性についてはいまだ不明である.当センターでは人間ドックのオプション検査としてNT-proBNPを導入し,検討した.<B>方法:</B>NT-proBNP検査は2011年8月より実施したが,2012年10月までに599名(男性362名,女性237名)が検査を選択した.これら受診者につき,年齢,性別,血圧,血液データ,心電図判定区分,所見,心胸郭比につき,NT-proBNP値との関係を検討した.<B>結果:</B>心疾患疑いとされるNT-proBNP≧125pg/mLは,男性8.8%,女性9.7%だった.NT-proBNP値は年齢とともに高値を示すが,男女間で相違がみられた.NT-proBNP値は,血清クレアチニン値と有意な正の相関,アルブミン値,Hb,LDLコレステロール値と有意な負の相関を示した.アルブミン値,Hb値は心筋へのストレスを反映していると考えられるので,心筋へのストレスがNT-proBNP値を上昇させると考えられた.心電図所見についても,左室肥大,不整脈があれば,NT-proBNP値は上昇すると考えられるが有意ではなかった. <B>結論:</B>NT-proBNP値は,心筋のストレス状態を反映して変動する.人間ドックにおいて,心電図,胸部レントゲンを心機能検査と考えれば,NT-proBNP検査は,心筋へのストレス状態を反映し,心機能検査を補うものとして注目される.