日本総合健診医学会 第41回大会・シンポジウム3 性差からみた総合健診BMIからみた健診の問題点:~特にBMIの低下について~
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Body Mass Index(BMI)は、広く臨床や健診で利用されている体格を評価する指数である。肥満はBMIによって判定され、我が国ではBMI:25kg/m2 以上は肥満とされる。近年先進諸国で肥満の増加が社会問題となり、我が国では数年前から特定健康診査・保健指導が開始された。その結果、メタボリックシンドロームと共に肥満の健康への悪影響の認知度は高まり、特定保健指導も一定の効果を挙げているとされる。これに対して、我が国でBMI:18.5kg/m2 未満の低体重が20~40歳代の女性で増加傾向と考えられている事については、あまり知られていない。そしてまた、低体重に対する共通した枠組みも構築されていない。低体重は健康に悪影響を持たないのだろうか。 以前よりBMIと総死亡率はU字曲線の関係を持つ事が知られており、アジア圏においても2011年にZhengらが100万人以上の人々を対象として、BMIの低下に伴って死亡リスクが上昇する事を報告している。そして我が国でも2010年にTamakoshiらやNagaiらによって、低体重と死亡率上昇の関係を示した報告が為されている。更に死亡以外にも、低体重の健康障害を示唆する報告は多くある。以上より、低体重も「健康」に対して注意すべき状態であると考えられる。 そこで本稿では、NTT東日本関東病院人間ドックを受診した13,449人(男性81.2%:10,917例・平均年齢47.4±10.6歳)を対象として、体型毎の受診者の病歴保有率や判定結果を調査し、その結果や既報から低体重に対する健康診断の課題について考察する。
- 一般社団法人 日本総合健診医学会の論文