骨血管相関における血清総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義
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概要
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近年の高齢化社会においては、動脈硬化症と骨粗鬆症を予防し、早期発見により治療介入することが健康長寿、すなわち、高齢者における生活の質を保つために必要である。本研究では、両者に関与する因子として、血清総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義を明らかにすることを目的とした。総合健診受診者992例(男女比=672:320、平均年齢=46.3±10.3歳)を対象とした。酵素法により、血清総ホモシステイン濃度を測定した。高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心疾患、脳血管障害、ヘモグロビンA1c(JDS)6.5%以上の症例を除外した症例における平均値+2倍の標準偏差値を基準値とした。血清総ホモシステイン濃度高値例と基準範囲例における臨床所見、検査所見を比較検討した。基準範囲は、男性で 22.0μmol/L未満、女性で 14.0μmol/L未満であった。血清総ホモシステイン濃度高値例は、男性で25例(4.6%)、女性で8例(2.6%)に見出された。血清総ホモシステイン濃度高値の男性における臨床特徴として、高血圧症、脂肪肝が認められた。メタボリック症候群非該当例で腹囲 85cm未満の男性では、高血圧症が血清総ホモシステイン濃度高値例の85.8%にみられた。これは、血清総ホモシステイン濃度基準範囲例の9.2%に比べ有意に(P<0.005)高率であった。次に、CXD法による骨密度検査を58例(男女比=15:43、平均年齢=47.8±10.5歳)に行なった。骨密度は、男性で全例正常であった。女性における骨密度低下群6例では、動脈硬化危険因子(高血圧症、脂質異常症、耐糖能異常のいずれか)が5例(83.3%)にみられた。特に、閉経後の骨密度低下群5例では、骨密度正常群12例に比べ、血清総ホモシステイン濃度が高かった。また、全例に、かかる動脈硬化危険因子のいずれかが認められた。血清総ホモシステイン濃度の測定は、骨血管相関の点で有用であることが示唆された。
- 一般社団法人 日本総合健診医学会の論文