若年オフィスワーカーの体重増加に関連する要因
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
オフィスワーカーにおいてしばしば認められる入社後数年間の急激な体重増加に関わる要因を把握して、有効な健康診断とそれに基づく保健活動のあり方について検討した。 東京都心の事業所に所属する35歳未満のオフィスワーカーの2011年度定期健康診断受診者で慢性疾患を有さない男性574名、女性427名の合計1,001名を対象とした。健康診断の問診には、「健診におけるライフスタイル把握のための問診票」の8項目38問とともに、メンタルヘルス関連項目8問を用いた。今回対象とした年齢では、糖尿病や高血圧などの疾患が顕在化することは、軽症例を含めても極めて少なかった。一方で、体重増加は既に、特に男性において顕著に認められた。成人後の10kg以上の体重増加に影響を及ぼしている要因は5項目あり、食事を摂取する時間が速いこと、しばしば満腹まで食べること、汗をかく運動をしていないこと、夕食から就寝までの時間が1時間未満であること、からだの悩みを強く感じることであった。これらの中で、4番目と5番目の2要因では、好ましくない食事習慣とメンタルヘルスの双方に関連性が認められた。 以上の結果から、35歳未満のオフィスワーカーを対象とする場合、健康診断の主たる目的を一次予防(疾患の発症予防)とし、結果の判定は、過去からの時間軸に沿ったdynamicな観点での判定を重視することが重要と考えられた。さらに、健康診断に基づく保健活動を行う際には、背景に潜む心身双方の関連性に配慮する必要性があると考えられた。