日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム5 健診からのエビデンス発信体制健診機関として日常的にかかえている問題点
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概要
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総合健診においては、健診の結果に基づき医師や保健師などが生活習慣改善の指導や助言をするが、どのような生活習慣をどの程度改善すれば、どのような効果がどれくらい現れるかについて、今までエビデンスの蓄積は十分とはいえない。産業保健においては、労災保険が健診にかかった費用を負担する労災二次健診が旧労働省時代に始まり、循環器疾患のリスクを複数持っている人に、頸部エコー検査や心エコー検査を実施し、その結果に基づいて医師や保健師が生活指導を行っているが、これもその効果についてのエビデンスは少ない。 平成20年度から開始された特定健診・特定保健指導は、共通のプロトコールを用いた壮大な国家レベルの研究ともいえ、保健指導の効果に対するエビデンスが出されると思われる。総合健診の場や、労災二次健診の場においても、我々健診に従事するものがエビデンスを作成し、発信していく必要があると思われる。 がん検診は、がんを早期に発見することで、死亡率の減少や医療費の削減、QOLの低下を予防するためなどの目的で行われているが、がん検診の効果についてのエビデンスは少なく、がん検診の有効性について疑問が投げかけられることが多い。がん検診に従事する我々としてもしっかりしたエビデンスを作成し、発信していく必要がある。 これらのエビデンスを作成するために、日本総合健診医学会の中にエビデンス作成委員会を常設することを提案する。委員会のメンバーとして、大学の研究者、研究機関の研究者、健診機関の代表者をあて、エビデンスを作成するためのプロトコールを提示し、各健診機関にデータ提供を依頼する。また各健診機関の方からも、作成してほしいエビデンスを委員会の方にあげてもらう。このようにして多くのエビデンスが作られれば、健診に対する国や国民の理解が進み、健診受診率が上がり、生活習慣の改善がすすみ、健診が国民の健康と福祉に一層貢献することができるようになると思う。
- 一般社団法人 日本総合健診医学会の論文
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