Bet v1長鎖合成ペプチドによる免疫療法の可能性
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概要
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アレルギーのペプチド免疫療法においては,HLA型を考慮したT細胞エピトープを選ぶことが重要となるが,全てのHLA型に対応することは困難である。今回我々は,シラカンバ花粉症患者の免疫療法を目的として,シラカンバ花粉のメジャーアレルゲンBet v1の全配列を3分割し10残基オーバーラップさせた長鎖合成ペプチドを作成した。このペプチドは理論上ほぼすべてのT細胞エピトープを含んでいるが,Bet v1の立体構造とは大きく異なっていることからIgEエピトープはほぼ含まれないものと予想される。そこでまず,3つのペプチドの好塩基球活性化能を評価するためにBATを行った。Bet v1に対しては患者全例で陽性となったが,3つの合成ペプチドには全ての患者において反応を示さなかった。またイムノCAP特異的IgE抑制試験で,3つのペプチドのIgE結合活性が低下していることを確認した。さらにALSTでは,2つのペプチドで反応を示す患者がみられたため,それらペプチドはT細胞刺激能を有するものと推測された。。これらのことより,この3つのペプチドの混合物をシラカンバ花粉症の免疫療法に用いることにより,安全で有効な抗原となりうる可能性が示唆された。