脊椎手術後の慢性痛に高用量のオピオイドを使用し良好な鎮痛を得たが,上限投与量を考慮し減量した1 例
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概要
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70 歳,男性の頸・胸椎後縦靭帯骨化症に対する椎弓切除術後に生じた左前胸部痛に対し,オピオイド治療を6 年前から行ってきた.初診時,痛みで睡眠と日常生活動作(ADL)が高度に障害されており,オピオイドを開始した.コデイン60 mg/日から開始し最大240 mg/日で12 カ月間投与したのち,モルヒネ30 mg/日に変更し,最大200 mg/日で26 カ月間投与した.この間にフェンタニル貼付剤(FP)が慢性痛に保険適応となったので,FP 8.4 mg に変更して3 カ月間,12.6 mg で17 カ月間投与した.FP 12.6 mg で鎮痛・副作用対策とも良好で,ADL はかなり改善された.しかし,慢性痛では12.6 mg で治療の見直しを要するとの安全情報に基づき,鎮痛,ADL の改善度と安全性のバランスから,より低用量での治療とし8.4 mg へ減量した.減量により痛みは増強したが,ADL は保たれている.その後に公表された慢性痛のオピオイド処方ガイドラインでは,FP の推奨される上限量は12.6 mg である.がん性痛と異なり,慢性痛のオピオイド治療では開始時から上限量を考慮して投与計画を立てる必要がある.
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会の論文
著者
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大城 研司
山口県済生会下関総合病院 麻酔科
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鴛渕 孝雄
山口県済生会下関総合病院 麻酔科
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大城 研司
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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河田 竜一
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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守田 季郎
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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平山 かおり
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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亀谷 悠介
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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鴛渕 孝雄
山口県済生会下関総合病院麻酔科
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