くも膜下ステロイドブロックが著効した難治性脊髄損傷後痛の1 例
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概要
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難治性脊髄損傷後痛に対してくも膜下ステロイドブロック(intrathecal steroid block:ITSB)を施行し,良好な治療結果を得たため報告する.症例は70歳の男性.22年前,交通外傷による脊髄損傷のため,両側下肢の弛緩性完全麻痺と持続性の痛みを発症した.加療されたが改善せず当院紹介となりITSBを施行した.ITSBは,第4~5腰椎間よりスパイナル針を穿刺し,くも膜下腔に10%糖液2 ml,デキサメタゾン4 mgを投与した.ITSB施行翌日,症状の変化がなかったためガバペンチンの併用を開始し経過観察を行った.ITSB施行8日後,VAS 10 mmと著明に症状が改善したため,ガバペンチンの投与を中止した.その後症状の再発やITSBの副作用などなく1年を経過している.ステロイドのくも膜下腔,硬膜外腔投与の効果,安全性,副作用に関し依然検討する余地はあるものの,ITSBは難治性脊髄損傷後痛に対し有効な治療法の一つであると考えられる.
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会の論文