肺癌精査中に発見された中咽頭未分化型多形肉腫の1例
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概要
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肺癌に対する全身検索中に発見された中咽頭未分化型多形肉腫の1例を経験したので,報告する。症例は85歳,男性。右後口蓋弓から発生する境界明瞭,可動性良好,弾性硬で圧痛の伴わない腫瘤を認めた。全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行し,未分化型多形肉腫の診断を得た。肺病変に対しては胸腔鏡下右上肺葉切除術を施行し,組織型は腺癌であった。高齢者であり認知症もあるため,術後加療は外来にてテガフール・ウラシル配合剤の内服治療を施行した。術後5か月目に肺癌由来と考えられる多発性脳転移が出現,ガンマナイフ治療を施行したが,1年目に再発,認知症も増悪,ADLの低下もきたし,積極的な治療は行えず,緩和治療目的に他院に転院。術後1年5か月目に転院先で転移性脳腫瘍のため永眠された。一般に,未分化型多形肉腫の加療は手術加療が優先され,文献的にも口腔,咽頭領域でも手術加療が治療の第一選択であると考えた。
- 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会の論文