Maxillary swing approachで摘出した上咽頭粘表皮癌の1例
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概要
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小唾液腺由来の粘表皮癌は時に遭遇する疾患であるが, 上咽頭に発生するものは非常にまれである. 今回, Maxillary swing approach (以下, MSA) により摘出した上咽頭粘表皮癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は42歳男性. 1カ月前よりの左耳閉感を主訴に当科を受診した. 左上咽頭側壁に基部を有する表面不整で易出血性の腫瘍を認めた. 画像検査では左上咽頭側壁に境界不明瞭で不均一に造影効果を認める30×27×26mmの腫瘤を認めた. 生検により粘表皮癌の診断を得てMSAによる摘出術を行った. 術後の経過は良好で, 顔面神経麻痺や開口障害は認めなかった. 頭頸部領域の粘表皮癌に対しては手術主体の治療を推奨する報告が多く, 上咽頭粘表皮癌においても例外ではないと考えられた. 本邦における上咽頭粘表皮癌の論文報告は少なく非常にまれな疾患と思われた. またMSAは, 比較的低侵襲で術後の顔面形態の変化や機能障害が少なく, 上咽頭などの顔面深部へのアプローチ法の一つとして有用であると考えられた.
- The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.の論文
著者
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文珠 正大
市立堺病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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前田 陽平
大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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富山 要一郎
大阪労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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山中 伸
市立堺病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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佐野 奨
市立堺病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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