中咽頭癌手術症例における潜在的頸部リンパ節転移についての検討
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概要
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【目的】中咽頭扁平上皮癌における頸部リンパ節転移の頻度や範囲を調べ, 予防的頸部郭清の必要性および, 行う場合の郭清範囲について検討する. 【方法】当院において1994年から2008年の15年間に, 中咽頭扁平上皮癌に対して初回治療として手術を施行した242例について検討を行った."潜在的頸部リンパ節転移" を, 予防的頸部郭清施行例における病理組織学的頸部リンパ節転移および後発頸部リンパ節転移と定義して, その頻度や範囲を調べた. 原発巣再発を認めた53例と, 原発不明癌として先に頸部郭清術を施行された9例を除いた180例を対象とした. 【結果】cN0症例の患側の潜在的頸部リンパ節転移陽性率は21.4%であった. 亜部位別では偏りや傾向は認めなかったが, T分類別ではT1: 5.0%, T2: 19.4%, T3: 44.4%, T4: 60.0%とT分類が上がるにつれて高くなる傾向を認めた. 健側の潜在的頸部リンパ節転移陽性率は2.9%のみであった. cN+症例の健側の潜在的頸部リンパ節転移陽性率は17.2%であった. 亜部位別では, 側壁以外で高い傾向にあった. 【考察】cN0症例では, T3/4症例で患側の予防的頸部郭清が必要と考えられた. 健側については予防的頸部郭清の意義は少ないと考えられた. cN+症例の健側では, 側壁T1/2症例以外では予防的頸部郭清を検討すべきと考えられた.
著者
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林 隆一
国立がん研究センター東病院形成再建外科・頭頸科
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海老原 充
国立がん研究センター東病院頭頸科
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篠崎 剛
国立がん研究センター東病院頭頸科
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宮崎 眞和
国立がん研究センター東病院頭頸科
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林 隆一
国立がん研究センター東病院頭頸科
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大幸 宏幸
国立がん研究センター東病院頭頸科
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明石 健
国立がん研究センター東病院頭頸科
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