高用量グルココルチコイド,シクロスポリン治療中に血球貪食症候群を発症し血漿交換療法とトシリズマブが奏功した成人発症Still病の一例
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概要
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症例は35歳女性.発熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫脹,サーモンピンク疹が出現し,白血球増加,炎症反応高値,肝機能障害,高フェリチン血症を認め,抗核抗体陰性,リウマトイド因子陰性であったことから成人発症Still病(AOSD)と診断した.グルココルチコイド(GC)パルス療法後に大量GC+シクロスポリン(CsA)が投与されたが,血球貪食症候群(HPS)を合併し,GCパルス療法を追加するも無効であり当院転院となった.転院後,再度GCパルス療法を行い,CsAをタクロリムス(TAC)に変更,さらに血漿交換療法を併用し病勢は改善した.しかし,血漿交換療法終了1週間後に微熱と炎症反応上昇を認めた.GCとTACのみでは病勢コントロール不可能と判断し,トシリズマブ(TCZ)を併用したところ症状は改善し,GCとTACの減量が可能となった.AOSDに対する生物学的製剤の有効性は多数報告されているが,HPSを合併したAOSDに対する生物学的製剤の使用に関しては,HPSを悪化させる可能性から,意見が分かれている.本症例はHPSを合併した治療抵抗性のAOSDに対するTCZの投与方法を検討するうえで貴重な症例と考えられる.
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