P9-19 リツキシマブが有効であった慢性腎不全合併多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiits ; GPA)の一例
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概要
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62歳男性.X年8月に強膜炎,副鼻腔炎,急速進行性糸球体腎炎を認め入院.PR3-ANCA960EU,半月体形成性糸球体腎炎を認めたことからGPAと診断.Cr 6.5 mg/dlまで上昇したが,ステロイドパルス療法および後療法PSL 50 mg/day,IVCY治療にて,PR3-ANCAは低下し,慢性腎不全の状態(Cr 3~4 mg/dl)で寛解した.IVCYについては,遷延性の血球減少が出現したため,CPA 300 mg/回で月1回投与,半年間使用した.X年12月にPR3-ANCA抗体値が再度上昇傾向となり,再燃の危険を考慮しX+1年4月にAZPの併用を開始した.しかし血球減少のため中止.PR3-ANCA高値持続のため,X+1年7月に一時的にPSL 30 mg/dayまで増量すると,両側高度大腿骨頭壊死およびステロイド骨粗鬆症による胸腰椎圧迫骨折を認めたため,PSLは漸減し,CyA 100 mg/日を併用した.ところが,X+3年1月からPR3-ANCA,CRP上昇とともに右肺上葉に結節影が出現し急速に増大した.GPAの再燃と診断し,IVCY 300 mg/回投与行うも肺結節影はさらに増大した.このため,4月からPSL 30 mg/dayへ増量するとともに,リツキシマブ375 mg/m2を週1回,計4回施行した.リツキシマブ投与開始後,肺結節影は縮小し,CRPは陰性化,PR3-ANCA値は低下傾向にある.本例は,CPA,AZPによる血球減少,CyA無効の難治性GPAであり,慢性腎不全とステロイド骨粗鬆症合併のため免疫抑制療法に苦慮した.本例に於いてリツキシマブは有効かつ安全に使用することができた.
著者
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駒形 嘉紀
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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池谷 紀子
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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有村 義宏
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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片岡 郁穂
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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磯村 杏耶
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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遠藤 彰子
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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要 伸也
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)
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山田 明
杏林大学 第一内科(腎臓・膠原病内科)