P5-12 セルトリズマブペゴルのヒトFcRnへの親和性およびヒトFcRnを介したトランスサイトーシスの検討
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概要
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【背景】セルトリズマブ ペゴル(CZP)は,従来型TNF阻害剤[インフリキシマブ(IFX),アダリムマブ(ADA),エタネルセプト(ETA)]とは異なる3つの構造的特徴[ポリエチレングリコール(PEG)化,Fc-free,一価]を有している新規TNF阻害剤である.昨年の本学会で,妊娠ラットにおいてPEG化Fab'抗体の胎児への移行性は,完全型抗体(15.25%)に比べ非常に低い(0.12%)ことを報告した.【目的】このPEG化Fab'抗体の胎児移行性の顕著な低減は,Fc-freeであることから,胎児性Fc受容体(FcRn)を介したトランスサイトーシスが起こらないためであると考えられる.そこでCZPと従来型TNF阻害剤のヒトFcRnへの親和性およびヒトFcRn介在性のトランスサイトーシスについて比較検討した.【方法】各TNF阻害剤のヒトFcRnへの親和性はBiacoreを用いて測定し,FcRn介在性のトランスサイトーシス量は,ヒトFcRn発現MDCK II細胞の単層培養系における4時間の透過量で評価した.【結果】ヒトFcRnへの結合の強さ(Kd)は,IFX(132 nM)>ADA(225 nM)>ETA(1,500 nM)であり,CZPはFcRn へ結合しなかった.また,ヒトFcRnを介してトランスサイトーシスされた量は,IFX(249.6 ng/mL)>ADA(159.5 ng/mL)>ETA(81.3 ng/mL)であったのに対し,CZPは3.2 ng/mLと著しく少量であった.【結論】PEG化Fab'抗体の胎児移行性の顕著な低減は,FcRnへ結合しないため,FcRn介在性の能動輸送が起らないことに起因することが示唆された.
著者
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Baker Terry
UCB Pharma, Slough, UK
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Okamoto Tadao
UCB Japan, Tokyo
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Kevorkian Lara
UCB Pharma, Slough, UK
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Nesbitt Andrew
UCB Pharma, Slough, UK