シロキサン鎖を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物のケイ素―酸素伸縮振動の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
exo−及びendo−ノルボルネンジカルボン酸無水物と両末端ヒドロシリル型オリゴジメチルシロキサンとの,ヒドロシリル化反応によって合成される脂環式テトラカルボン酸二無水物を対象にして,赤外吸収スペクトルのケイ素─酸素(Si−O)伸縮振動を解析した.ジシロキサンではSi−O非対称伸縮振動に基づく吸収が1種類,トリシロキサン以上では2種類観測された.高波数側の吸収はシロキサン鎖の長さによらず一定の波数を示したが,低波数側は鎖長が長くなるに従ってより低波数側にシフトするとともに吸収の強さが増大した.トリシロキサン以上では,内部ケイ素原子から見た二つの酸素原子の動きに対称運動と非対称運動の2種類が存在し,この2種類の運動の組み合わせによって吸収の数が決まる.量子化学計算で振動の状態を見たところ,高波数側は酸素原子の動きが対称運動であり,低波数側は非対称運動であった.さらに,鎖長が長くなるに従って非対称運動の割合が高まるとともに,その強度も大きな値を示し,観測結果に合致した.