金属錯体の特異的な形成及び相互作用を利用する新規核酸プローブの開発
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概要
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オリゴヌクレオチド(ODN)に金属配位基や金属錯体を導入したDNAコンジュゲートを調製し,これをハイブリダイゼーションプローブとして用いた.標的DNA上で複数のプローブを相互作用させ,そこで得られる特異的なシグナルから遺伝情報を読み取るシステムを構築した.希土類金属イオン捕捉部位としてEDTAを,光増感部位として1,10-フェナントロリン(phen)を別々のODN末端に修飾し,標的DNA上で両構造が近接するように一対のプローブを設計した.これらプローブと標的存在下,Tb(III)やEu(III)を添加すると,両イオンに特徴的な発光が得られた.またこれらの発光は標的配列上の点変異に依存した.次に,ルテニウム錯体を用い,反復配列の選択的ラベル化を試みた.反復の一単位に相補的なODNに[Ru(phen)2(dppz)]2+錯体を導入し,これをプローブとした.末端に導入した錯体部位は,隣に結合したプローブが形成する二本鎖に対してインターカレートし,隣接配列への第二の結合を促進することが分かった.また,標的に結合した際に特異的な発光を示した.