生後7日齢の子牛における血清IgGおよびTP濃度を用いた受動免疫移行不全の診断
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概要
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1日齢における血中免疫グロブリンG(IgG)濃度が基準値未満の場合に受動免疫移行不全(FPT)と診断されるが,子牛が肥育牧場や育成牧場に導入される1週齢前後のFPT基準値は報告されていない. 本研究は, 血清IgGおよび総タンパク質(TP)濃度の経時的変化を調べ, 7日齢の検査値を用いたFPT診断精度について検証した. ホルスタイン種(HS)43頭, 黒毛和種(JB)34頭を用いた. 1日齢と7日齢に採血を行い, 血清IgG(mg/mℓ)およびTP濃度(g/dℓ)を測定した. 1日齢と7日齢において, IgGとTPの間に強い正の相関関係が認められた. 1日齢のIgGとTPの散布図において, 近似曲線の一次方程式にFPT基準値(HS-IgG: 10.0, JB-IgG: 20.0)を代入して求めたTP濃度(HS-TP: 4.6, JB-TP: 5.3)を1日齢のFPT基準値とした. HS-IgG, HS-TPおよびJB-IgGは, 1日齢〜7日齢にかけて有意に減少した. 1日齢〜7日齢の平均変化率は, HS-IgG: 71.7%, HS-TP: 92.2%, JB-IgG: 73.8%, JB-TP: 95.4%であった. 1日齢のFPT基準値に平均変化率を乗じて7日齢のFPT基準値とした(HS-IgG: 7.2, HS-TP: 4.2, JB-IgG: 14.8, JB-TP: 5.1). 7日齢の血液検査において, FPT基準値未満であった場合を検査陽性とし, FPTの診断精度について検証した. HS-IgGの陽性的中率(PPV)は78.6%, 陰性的中率(NPV)は93.3%, HS-TPのPPVは76.5%, NPVは100.0%であった. JB-IgGのPPVは100.0%, NPVは80.0%, JB-TPのPPVは91.7%, NPVは86.4%であった. 以上より, 7日齢の血清IgGおよびTP濃度の測定はある程度の精度でFPTを診断できると考えられた.
著者
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滄木 孝弘
帯広畜産大学畜産学部
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新盛 英子
帯広畜産大学 臨床獣医学研究部門 診断治療学分野
-
石井 三都夫
帯広畜産大学 臨床獣医学研究部門 診断治療学分野
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石井 三都夫
帯広畜産大学 臨床獣医学研究部門
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