鹿児島県における黒毛和種肥育雌牛の血液生化学的性状
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概要
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鹿児島県内で飼養されていた黒毛和種肥育雌牛に対して肥育ステージごとの血液生化学的検査を行った.供試牛は,61農場にて飼養されていた臨床的に健康な9~30カ月齢の黒毛和種肥育雌牛1,381頭で,これらを肥育前期(9~13カ月齢:257頭),肥育中前期(14~16カ月齢:283頭),肥育中後期(17~19カ月齢:266頭),肥育後期(20~23カ月齢:325頭),仕上げ期(24~30カ月齢:250頭)の各肥育ステージに分類した.血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,γ-グルタミルトランスフェラーゼ活性値の平均値は肥育中後期から仕上げ期で高値であった.血清アルブミンの平均値は中後期以降では3.5g/dℓであった.血清総コレステロールの平均値は中前期以降では140mg/dℓ以上であり,後期で最も高値であった.血清無機リンの平均値は肥育ステージが進むにつれ低下した.血清ビタミンAの平均値は肥育ステージが進むにつれ低下し,仕上げ期では39IU/dℓであった.血清ビタミンEの平均値は,前期では164μg/dℓであったが,中前期以降では200μg/dℓ以上であった.これらのことから,鹿児島県内で飼養されていた黒毛和種肥育雌牛の各肥育ステージにおける血液生化学的検査値は,それぞれ異なることが示唆され,今後,生産病の診断および予防を行う上で1つの指標となると考えられた.