小児の脳死判定と臓器提供における諸問題
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概要
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神経学の独立した一病態でありながら, 「小児の脳死」は, 常に臓器移植と関連して多くの視点から議論されてきた. 特に本邦では2009年7月「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律 (いわゆる改正臓器移植法) 」の成立により15歳未満の小児からの脳死下臓器提供が可能となり注目を集めた. 一方2011年, 25年ぶりに米国小児脳死判定ガイドラインが改訂され, 膨大な文献の分析より診断基準の感度・特異度, 補助検査の有効性, 新生児に対する対応等が網羅された. 小児脳死判定は, 深昏睡・脳幹反射消失・自発呼吸消失の臨床診断を基本とする点で日米共通しているが, 脳死下臓器提供を前提とした場合に限り脳死を人の死とする本邦ではより厳密な判断や十分な体制整備が必要とされている. 本稿では, I. 小児脳死判定に関する問題, 特に日米のガイドラインについて, II. 小児脳死下臓器提供の体制構築における問題について概説する.
著者
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横田 裕行
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Nippon Medical School
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荒木 尚
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Nippon Medical School