運航乗務員の連続早朝勤務における睡眠の質の様相
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概要
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近年,夜勤交代勤務研究では研究課題が夜勤から早朝勤務に移っている。その理由は早朝勤務前の夜間睡眠の問題が大きいからである。そこで本研究では,早朝勤務が頻繁に生じる運航乗務員の睡眠を簡便な方法で長期間測定する機会を得たことから,過労死の機序を念頭において睡眠時の循環器負担を検討することを目的とした。対象は某民間航空会社の機長1名で,睡眠を24日間連続測定した。睡眠はアイシン精機(株)の研究用「眠りモニタ」で測定した。対象者の交番表は,乗務日が12日,休日が9日,スタンバイ日が2日,国際線ステイ日が1日であった。勤務日のうち早朝勤務日が7日(6:12±48分)で最も多かった。休日前睡眠との比較では,早朝勤務前は約3時間短かった。睡眠変数は早朝勤務前の段階1を除き,休日前の夜間睡眠より減少していた(p<0.05)。この傾向は,早朝勤務前睡眠に仮眠を加えた場合でも,徐波睡眠(p=0.088)とレム睡眠(p=0.039)に見られた。徐波睡眠,レム睡眠時の心拍数を4連続早朝勤務間で検討した結果,早朝勤務3日目までは心拍数の上昇がみられ,循環器負担が示唆された(p<0.05)が,4日目には早朝勤務1日目の値に戻った。(図4)