愛知県作手地域の領家深成-変成コンプレックスの地質
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
5万分の1地形図 「三河大野」 図郭内において,領家深成−変成コンプレックスが露出する北西部7×10 km2 (作手地域) の野外調査を行った.本地域の領家変成岩類は大局的には北傾斜の層理及び片理をもつ変成泥岩,変成砂岩及び変成珪質岩からなり,全体の層厚は4,000 mに達する.この層序は三河高原における領家変成岩類の上部ユニットに対比される.本地域の領家変成岩類には,広域変成作用の後に領家花崗岩類 (新城トーナル岩,三都橋花崗閃緑岩,武節花崗岩) が貫入している.また,輝石及びCaに富む斜長石を含む深成岩が分布し,これを作手苦鉄質岩類 (新称) とした.本地域の領家変成岩類は黒雲母帯とその接触変成域のカリ長石菫青石帯に変成分帯され,特に新城トーナル岩周囲の接触変成帯の見かけ幅は異常に広い.新城トーナル岩周囲のカリ長石菫青石帯の岩石は>600 ºC,230−240 MPaの温度−圧力条件で再結晶しており,新城トーナル岩の定置深度は8.5−9.0 kmと考えられる.