数値シミュレーションによるCO2地中貯留ポテンシャル評価の試み:― マレー半島東方沖マレー堆積盆におけるケーススタディ ―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CO2地中貯留のポテンシャル評価を目的とし,南シナ海マレー堆積盆をモデルに数値シミュレーションを実施した.まず既知の地質及び地球物理情報を利用したベースンモデリングからマレー堆積盆の地質形成史を復元して現在の地質性状の最適化を行った.次に貯留層になりうる層準においてCO2注入シミュレーションを実施し,その安定性を評価した. その結果,マレー堆積盆ではCO2が超臨界となる約720 m以深の様々な砂岩層トラップにおいて安定してCO2を貯留できる結果を得た.また,各貯留層トラップにおいて貯留量の指標となる最大のCO2コラム高は,深度が大きいものほど高くなり,各トラップにおいてCO2の最大許容量は常に天然ガスのそれよりも高いコラム高を示した.本シミュレーションでは断層の影響を含んでいないが,既に天然ガス集積が認められているトラップであれば,その最大コラム高の範囲内で超臨界CO2を安定的に貯留できる見込みである.