物理定数から見た白亜紀-古第三紀花崗岩類- その3.足尾帯(関東地方北部)
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概要
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本報では,東日本ですでに報告を行った,北上山地,太平山地域,栗駒-鳴子地域,村上地域(その1.東北地方北部;金谷・大熊,2003),それに阿武隈山地(その2.東北地方南部;金谷・大熊,2007)を除く新潟,山形,福島,栃木,群馬そして茨城県下,いわゆる足尾帯(一部上越帯を含む)に露出する花崗岩質岩約303 露頭から採取した試料について報告する.ついで,これまでの結果(金谷・大熊,前出)と合わせ東日本に露出する白亜紀-古第三紀花崗岩類について概観した. ここでは関東北部から新潟・山形県(北緯38度10分)に到るいわゆる足尾帯を,新潟・山形・福島県下(北部),福島・群馬・栃木県下(南部・上越帯を含む))それに茨城県下(南東部,八溝・筑波山地)の3 つに分け考察した.求めた物理定数は当地域の岩石密度,孔隙率,磁化率そしてQn 比であるが,岩石磁化率については303 試料中例外的な5 サンプルを除き殆どの岩石試料は低い値(1x10-2SI以下)を示した. また,東日本でこれまでに測定された磁化率について,磁化率の強さを決める指数の1 つと考えられている酸化比(oxidation ratio)を用いこれらを比較した.この結果,花崗岩質岩類が示す磁化率の強度は全鉄には相関を示すものの,酸化比との相関は極端に悪く,個々の試料について両者の関係を論ずることはかなりの困難を伴う.このことは磁化率を決める重要な要素が他にも存在している事を意味しているものと考えられる.