愛媛県北部の中新世火山岩頸周辺部における岩石磁気物性の変化
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概要
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中新世の瀬戸内火山岩類が岩頸として花崗岩類に貫入した地質構造が明瞭に見られる,松山市中島瀬の鼻で露頭の帯磁率プロファイルを取ったところ,花崗岩と火山岩頸の境界部の数m 程度の狭い範囲で高帯磁率帯が認められた.さらに,松山市に分布する中新世の火山岩頸11サイトから42個の花崗岩と安山岩の試料を採取し,帯磁率,自然残留磁化,密度を測定した.また,このうちの15試料について,熱磁気分析およびヒステリシスパラメーター測定を行った.それらの結果,火山岩頸の境界部分において帯磁率も自然残留磁化も強い傾向が見られた.ヒステリシスパラメーターでは,火山岩頸の中心部に比べて縁辺部のマグネタイトのほうが粒子が小さい傾向にあることが分かった.また,ほとんど自然残留磁化を示さない花崗岩類が,安山岩と接触している部分のみ,自然残留磁化が強く,帯磁率が高かった.これは,安山岩と接触した熱で花崗岩類の黒雲母が変質し,粘土鉱物とマグネタイトが生成された結果であると顕微鏡観察から認められた.