下腿静脈うっ滞性潰瘍の治療経験
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概要
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●要 約:下腿静脈うっ滞性潰瘍(C6)は難治性のものが多く,静脈圧上昇と軟部組織のそれぞれに対する専門的治療が必要で,本来は血管外科と皮膚科や形成外科による集学的治療が理想である.今回,当科では2008年1月から2012年7月までにC6 18例20肢に治療を行った.原疾患は,下肢静脈瘤16肢 (初回12肢,再発4肢),深部静脈閉塞2肢,動静脈瘻2肢であった.治療は,術前から全例に軟膏併用圧迫療法を,手術は,逆流表在静脈処理(18肢),潰瘍廓清(全肢),不全穿通枝切離(皮切2肢,内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術=SEPS 13肢),フォーム硬化療法(8肢),術後はVAC療法(6肢),皮膚移植(2肢)を行った.下肢静脈瘤の16肢は14肢で完全治癒,手術1カ月後の2例はほぼ治癒し,二次性4肢は改善傾向も未治癒である.C6に対する治療を行うに際し,血管外科医には,SEPSなどの治療の選択肢を多くもつこと,皮膚科医や形成外科医との綿密な協力関係を築くことが必要不可欠と考える.