三次元デジタルモデルを用いた片側性口唇裂口蓋裂患者の咬合評価に関する検討
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概要
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【目的】Goslon Yardstickは片側性口唇裂口蓋裂患者の咬合状態から治療の難易度を評価する方法で,簡便かつ再現性が高いことから広く用いられている。しかし,評価に際し相当数の歯列模型を用いるため,その管理がしばしば困難となる。一方,三次元デジタルモデル(以下,3DDモデル)は石膏模型をデジタルデータに変換するため保存が容易であるが,デジタルデータより構築した画像は石膏模型とは異なった印象を受けることもある。今回我々は,石膏模型より作成した3DDモデルを用いてGoslon Yardstickによる評価を行い,口腔模型を用いた場合との差異について検討を行った。【資料および方法】資料として,徳島大学病院矯正歯科を受診した片側性口唇裂口蓋裂患者37症例の石膏模型を用いた。それぞれの石膏模型をスキャニングし,3DDモデル(OrthoCAD,CADENT)を作成した。8年以上の臨床経験をもつ矯正歯科医4名が,石膏模型と3DDモデルをそれぞれ2回ずつ,5日以上の間隔をあけて評価を行った。評価はMarsらの方法に従った。また,評価の一致度を求めるために重み付きkappa値を算出した。kappa値は0.81~1.0をgood agreement,0.61~0.80をsubstantial,0.41~0.60をmoderate,0.21~0.40をfair,0.20以下をpoorとした。【結果】石膏模型と3DDモデルについて評価者内でのkappa値はそれぞれ0.82~0.91,0.77~0.85となり,ともに評価は一致していた。このことから,石膏模型,3DDモデルのいずれを用いた場合でも評価の再現性が高いことが示された。さらに同一評価者内の石膏模型と3DDモデルの評価の一致度については,kappa値は0.75~0.86となり,石膏模型と3DDモデルにおける評価は比較的一致していた。一致していなかったものに着目すると,3DDモデルの方がGoslon Yardstickの値をやや高く評価する傾向にあった。【考察】Goslon Yardstickの評価にあたって,3DDモデルの使用は石膏模型と比較しても遜色がないことが示された。
著者
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堀内 信也
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
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田中 栄二
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
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藤原 慎視
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
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川合 暢彦
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
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天知 良太
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, The University of Tokushima Graduate School of Oral Sciences
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木内 奈央
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
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黒田 晋吾
Department of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School