コロイドが存在する状態での核種の分配挙動の確認手法の検討
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概要
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放射性廃棄物の地層処分における性能評価では, 核種移行における遅延効果は一般に分配係数 (Kd) によって評価される. しかしながら, 液相にコロイドが存在する場合, コロイドは核種を収着する可能性があるため, Kdの値に影響を及ぼすことが考えられる. 本研究では, 核種の収着挙動に及ぼすコロイドの影響を調べるために, Cs-137, ベントナイトコロイドおよび石英砂を用いたバッチ法による収着試験を実施した. Cs-137の石英砂への Kd (Kd1) およびベントナイトコロイドへの Kd (Kd2) は, 固相中, コロイド中および液相中のCs-137の存在量から求め, 試験溶液を分離するフィルタの孔径により, これらの核種の存在量の区分を行った. その結果, 本試験条件のもとでは, 固相とコロイドが別々に存在する状態で取得された分配係数から, 両者が共存する状態での核種の分配挙動を見積もることができた. このように, ろ過において適切なフィルタ孔径を選定することは, 核種の固相への収着挙動に及ぼすコロイドの影響を見積もる上で有用と考えられる.
- 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会の論文