TRU廃棄物地層処分におけるC-14の長期閉じ込め型パッケージの開発 その1:高強度高緻密コンクリート製パッケージの化学的耐久性に関する研究
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概要
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本論文では, TRU廃棄物のうちハル・エンドピース圧縮体用キャニスタから放出されるC-14の生物圏における線量影響を低減する目的で開発中の, 長期閉じ込め型コンクリート容器の長期耐久性に関して, 主にその水浸透特性, 及び水浸透に伴って生じる化学劣化について検討した結果を示す. 長期閉じ込め型コンクリート容器は材質に高強度高緻密コンクリートを用い, その高い止水性によって水の浸透を抑制し, 長期間にわたり内包する廃棄物と地下水との接触を防止することによって放射性核種の漏出を抑制するものである. 著者らはこれまでに, 冷間静水圧法によって取得した高強度高緻密コンクリートの透水係数 (4×10-19m/sec), 及び各種コンクリートの空隙率と透水係数との関係を用いて, カルシウムの溶脱等に起因する空隙率変化を反映させた水浸透-化学劣化連成解析を実施し, 6万年間の高強度高緻密コンクリートに対する水の浸透距離を約14cmと予測した [3]. この結果は, 容器が十分な壁厚を有しており, ひび割れ等を生じていなければ, C-14の線量影響を約3桁低減できる可能性を示している. しかし, 冷間静水圧法ではコンクリートの圧縮強度を大きく上回る水圧下で生じる水の浸透を測定していること, および, 化学劣化に関して十分に水が供給された浸漬状態での各水和物の溶解度を用いて解析を行ったことから, 長期的な水浸透試験により, 解析によって得られた結果を, 処分環境における高強度高緻密コンクリートの水浸透挙動及び化学劣化の進展が上回る可能性がきわめて低いことを示すことが必要である. そこで, 著者らはより低水圧の環境 (1MPaおよび 10MPa) での長期水浸透試験ならびに, 高強度高緻密コンクリートの化学劣化挙動を取得するための浸漬試験を実施した. 長期水浸透試験では, 3年間の浸漬によって生じた重量増加から推定される水浸透距離は, 村田の式 [13]を用いた予測値を下回ること, ミクロな空隙構造はほとんど変化しないことが示された. また, 浸漬試験後のバルク試料について X線マイクロアナライザー (EPMA) を用いた観察によって溶脱劣化深さを求めたところ, 水浸透距離とほぼ一致することが示された. 水浸透化学劣化連成解析は, 水が浸透した領域全体で溶脱に伴って空隙率が上昇し, 水の拡散係数も大きくなる, 村田の式 [13] と比較して保守的な仮定に基づいて行っていることから, これらの結果は, これまでに実施した高強度高緻密コンクリートへの地下水の浸透深さは, 水浸透-化学劣化連成解析による水浸透距離の予測結果を上回らないことを示すものと考えられた.
- 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会の論文
著者
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森 大介
Taiheiyo Consultant Co., LTD
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中西 博
Radioactive Waste Management Funding and Research Center
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小川 秀夫
Taiheiyo Consultant Co., LTD
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大和田 仁
Radioactive Waste Management Funding and Research Center
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朝野 英一
Radioactive Waste Management Funding and Research Center
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平石 知仁
Taiheiyo Consultant Co., LTD
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渋谷 和俊
Taiheiyo Consultant Co., LTD
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