地層処分におけるガス移行影響評価:―人工バリア内のガス移行解析手法とデータ取得―
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概要
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放射性廃棄物の地層処分場において発生するガスは, 処分場内の圧力上昇によるバリア機能の低下, 気相飽和度の上昇にともなう処分場内間隙水の排出等により, 処分の長期安全性に対する潜在的影響を有すると考えられている. 本稿ではこれらガス影響の評価に必要となる人工バリア内でのガス移行に着目し, その評価手法, 解析モデルと移行特性試験, および移行特性パラメータの評価・設定に関する研究成果について報告する. 本研究では粘土系材料およびセメント系材料に対するガス透過試験を実施し, ガス侵入圧力, 透過係数等のガス移行挙動を把握するとともに, ガス移行評価に適用しうるモデルパラメータの評価を行った. 間隙に水を含む固相中をガスが移行する際の機構は, 固相の間隙構造, 鉱物特性により大きく変化しうるが, ここでは現時点で多次元多相流解析において唯一実用化されている連続媒体2相流モデルを適用し, 固液間の相対的に強い相互作用等を反映した特性曲線を設定することにより, 粘土系材料およびセメント系材料に対する移行特性を評価し, 試験結果との良い一致を見た. 本研究により, セメント系材料に対する連続媒体2相流モデルの適用が可能であることが確認されたが, 今後は粘土系媒体に対する応力条件による影響を反映したモデルの開発と適用, 岩盤を含む個々のバリア構成材料に対する長期のガス透過試験による移行特性データの信頼性向上, 環境因子による影響の把握, さらに各種媒体に対して最適な移行モデルを統合した複数媒体解析ツールの開発と, 実規模試験結果による確証を段階的に進めることが必要である.
著者
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三原 守弘
Japan Nuclear Cycle Development Institute
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大井 貴夫
Japan Nuclear Cycle Development Institute
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山本 幹彦
Toyo Engineering Corporation